ものくろーむりべりおん ~中等部編~
彼らに手を出してはいけません。
「うわー。すげぇ・・・」
昼休み。午前中の授業から解放された生徒たちが我先にと駆け出していく。
向かう先は学食であったり、購買であったり。
今日は天気もいいため、弁当持参の女子達もわいわいと騒ぎながら中庭へ向かう。
すっかり人気のなくなった教室には男子が3人。
彼らが囲んでいるのは麺類でもなければパンでもなく、今は無き日本の伝統食・コメでもなかった。
さらに言うなら、食べ物ですらない。
―――それは、一着の体操着だった。
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「まったく。なんですぐに言わなかったんだ?」
ここまで汚れると、洗うのも大変なんだぞ。そう言ってルルーシュが手に取ったのは、先ほどリヴァルが思わず声を出してしまったほどに無残な体操着。真っ白だったはずのそれは、今や真っ赤な【ELEVEN】という大きな殴り書きで、とても着れる代物ではなくなっていた。
「だって言ったら、君、午前中の授業サボってでもしみ抜きするでしょ?」
「当然だ。」
「偉そうに言わないでよ・・・」
がっくりと肩をおとしたスザクと、ふんぞり返るルルーシュ。まだ出会ってから1週間ほどしかたっていないが、それは自称「ランペルージ兄弟の友人・第一号」のリヴァルにとって、非常に見慣れた光景だった。
そう、まさしくいつも通りの光景だった。
―――これって「いじめ」だよな?なんでこいつらこんなに平然としてるワケ!?
こんなの気にするなよ!俺はお前の友達だからな!!的なくさいセリフを言いそうになっていた自分が虚しい。
むしろ恥ずかしくなってきた。
溜息をついたかと思えば真っ赤になったリヴァルの横で、スザクもまた溜息をついた。
「ねぇ、ルルーシュ。これ着て体育出たら、校則違反かな・・・?」
「何言ってるんだスザク!!こんなものを着る気か!?」
「だって僕たち、一着ずつしか買わなかったじゃないか。」
「だからと言って!!」
このまま放っておけば、こいつらは確実に喧嘩する。精神衛生上それだけはどうしても阻止したいリヴァルは、思い切って口をはさむことにした。
「あのー。とりあえず、洗ってみるってのは?」
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