「ゼロ」の後継ぎ?
そのようなもの、必要はない。これは、ただの「正義の象徴」だ。
私の意志を継ぐ者を、だと?
意志を継ぐ者ならば、わざわざ探すこともないだろう。「ゼロ」は、行動をもって正義を実現するのだから。
・・・なるほど。つまり貴殿は、私が誰かを娶り、世継ぎをなすようにとおっしゃるのか。
「ゼロ」が世襲制とは、とんだ笑い話だとは思わないのか?
―――神楽耶様か。確かに、あの方は「ゼロ」の妻だと公言なさっていたが。
だが、それももう、昔の話。
まして彼女と私の間にそのような事実があったことなど、一瞬たりともない。
愛する者はいないのかと?
・・・面白いことを聞く。
いいだろう。答えようではないか。
私は、私の子供を愛している。
知らなかったか?
私がこの世で最も愛した者が産み落とした、愛しい子。
そう、アレはもういない。
アレの命と引き換えに、我が子は産声をあげたのだ。
なに、そんなに意外なのか?
私に愛する者がいたことがか?
私に愛する者がいることがか?
―――愛する者の命と引き換えに誕生したものを愛することがか?
だが、私にしてみれば、それは当然のことなのだ。
私とアレを繋ぐものは、もはやコレしかないのだから。
ましてや、私達の愛しい子を産んだのは、アレの願いだったのだから。
そして、その手助けを私はしたのだから。
私はアレの子供を愛する。
まだ幼い芽が、理不尽に摘み取られることのないよう、守る。
愛し、慈しみ、その成長を支え、しっかりと根付くようにと願い続ける。
それが、「ゼロ」なのだ。
アレが、私に与えた役割なのだ。
・・・そうかもしれないな。
きっと今でも、私はアレを愛している。
アレの子供に、アレの面影を探し続けている。
―――くだらないことを言った。
話はこれで終わりにしよう。
でも、どこにも君がいないんだ。
君のように優しくて、今にも壊れてしまいそうな世界。
ルルーシュ、君がいない。