神楽耶様のお話。(SE6ネタバレあり)
ルルーシュが枢木神社にいたのは約1か月間だと思ってます★
(WIKIとかで見てみると、1年間が定説らしいです・・・)
神楽耶は、枢木のお兄さまが大好きじゃった。
ぶっきらぼうだけど優しくて、神楽耶のことを《皇の姫》ではなく、《神楽耶》として大切にしてくださるお人じゃったから。
お兄さまは神楽耶の憧れじゃった。
お兄さまは、いつも神楽耶を置いていった。
神楽耶には危ないからと、連れていってと駄々をこねる神楽耶に困った顔をしながら。
ごめん、と言いながら。
けれど、決して邪魔者扱いすることなどはなかった。
お兄さまが神楽耶を置いていくのは、いつも神楽耶のためじゃった。
だから、あれがお兄さまが初めて神楽耶をご自分のために置いていった時なのじゃと思う。
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かか様、かか様。
どうしてそんなに泣いていらっしゃる?
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蝉が喧しく鳴き始めた2月ほど前、敵の国から2人の子供がやってきた、と聞いた。
《敵》という言葉は知っていたが、神楽耶に嫌なことをする怖いものだとしかわからなかった。
だから、神楽耶は会いとうなかった。
なぜわざわざ枢木の神社に行き、会わねばならないのじゃ!
そう言って嫌がったのだが、巫女としての鍛練の時期だと、強引に京都から離されてしまった。
そして日差しの強い夏の日、神楽耶は《敵》に会った。
・・・けれど神楽耶は絶対に目など合わせまいと、必死に隠れたものじゃった。
だから、その時の《敵》の姿は未だにわからない。
枢木の屋敷に帰ってから、女中が神楽耶に塩をまいた。
アンナモノはお忘れください、と。
だから神楽耶は忘れた。
あんなにも恐ろしかったのに。
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かか様、かか様。
ここは暗い。
あの日とは、まるで正反対じゃ。
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枢木にいたのは5日ほどじゃったか。
その時、神楽耶は鬼にあった。
漆塗りの黒髪に、紫水晶の瞳。
そして、真珠の肌。
―――美しい、鬼じゃった。
皇の者としての役目と、そのための稽古が嫌で嫌で仕方がなかった神楽耶は、鬼に連れて行ってくれと頼んだ。
すると鬼は言うた。
神楽耶の言うことを皆が聞くのは、神楽耶が皇の人間だからだと。
神楽耶など、連れて行きたくもないと。
皇でなければ、わがままな神楽耶のことなど誰も好きにはならないと。
神楽耶は泣いた。
鬼の申したことは真実じゃと、どこかで気づいておったから。
―――スザクも、神楽耶が皇だから、婚約者でなくなると困るから優しいのじゃ・・・!
・・・そう思うことが、一番、悲しかった。
泣いて泣いて泣き続けて、涙が枯れ果てるころ、スザクが迎えに来てくれた。
見たこともないくらい、心配そうな顔で。
そして、神楽耶に優しいのは神楽耶が皇だからではない、と言うてくれた。
・・・知っておった。
スザクは《神楽耶》を大切にしてくれていると、神楽耶は知っておった。
・・・だから神楽耶は、スザクに憧れておったのじゃから。
神楽耶はそんなことも忘れておった。
その日から、神楽耶はスザクを「枢木のおにいさま」と呼ぶようになった。
《枢木》の名を厭うことなく、父親のようになろうと努力する姿に敬意を込めて。
そして、神楽耶も《皇》の名に恥じぬ、立派な人間になると誓った。
いつの間にかいなくなってしまっていた鬼に、神楽耶は伝えたかった。
「ありがとう」と。
ただのわがままな子供になってしまうところじゃった神楽耶に、教えてくれてありがとう、と。
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かか様、かか様。
神楽耶は枢木の屋敷に行きたい。
会いたい者がおるのです。
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